「和太鼓の胴を作ってみないか」との話があり、挑戦してみることにしました。 これは桶胴といって桶職人が作る桶を利用した太鼓の胴部です。材は杉で桶胴というだけあって箍(たが)をはめます。以下2ヶ月間をかけて試作品が完成するまでの工程を記述します。
杉材を厚さ8ミリの短冊に加工します。これを24枚作ります。
樽型にするため専用の治具でコバ(接着面)を曲面に加工します。この状態を職人用語で「榑」(くれ)といいます。
榑を24枚輪状につなぎ合わせるには「ダボ」を入れないと崩れてしまいます。 ここではダボ穴位置を墨付けしています。
墨付けしたダボ穴位置をボール盤で穴明けします。ピッチずれは0.2~3程度にしないとダボが組めません。穴は計96個
48個のダボを組みつけていきます。ダボの役目は榑同士を接着するまでなので楊枝を使いました。(試作では釘を使っています。)
ダボと反対側にボンドを塗布 ウエスで塗り残しが無いよう丁寧に
半円型の治具に12枚の榑を並べていきます。ダボとダボ穴を上手に嵌めながら進めます。 ここで先ほどのピッチずれが利いてきます。何せダボは「楊枝」なので簡単に折れます。
残り半分も同じように組み立て、両者をドッキングします。崩れないように気を使いながら・・・緊張の時間です
またまた出てきた専用治具。胴は円筒状ではなく樽状なので2工程で加工した榑の木口をハタがねを使ってステンレスボールで押さえつけ径をしぼめます。
胴の中央部はベルトクランプで固縛します。3本で120度に振り分けて均一に
24角形をディスクサンダーで削り仕上げます。その後「箍」を叩き込みます。箍は「組箍」の要求だったので三州足助屋敷の職人さんに教わりました。 箍は竹ひご作りから組箍の組み方など桶胴よりも箍の製作と技の取得にに時間がかかったように思います。
担ぎ桶太鼓の完成品です。胴部を黒ウレタン塗装し、リング皮を亀甲締めで張ります。私の加工は胴部のみで写真は塗装屋さん、 太鼓屋さんを経て出来上がったものです。