石窯計画

私の目を引いたその製作記録は耐火煉瓦をドーム型に積み上げるというものでした。石窯にはいくつかのタイプがありますが
ドーム型に拘りました。ドーム型はレンガのカットを図面に忠実にやることが重要になってきます。 石窯は雨に濡れないことが
大事なので小屋を作ることにしました。形は鐘突き堂をイメージしたもので柱は四方ころび、
貫はクサビで固めることにしました。

窯の正面図と断面図

'10.08.01

昨年石窯製作のH.Pを見つけてその構造、作り方に大変興味を持ちました。ピザやパンを焼きたいと思う前に窯を作りたい気持ちが強くなり、創作意欲が湧いてきました。以下製作の過程を記録していきます。

窯の土台は石積みに決めました。石は拳大から砲丸大ほどの川石を格安で入手しました。基礎は砕石を敷いてから石をセメントで固めていきます。

石が崩れないように使い古しの番線を鉄筋かわりに、また囲った石の中はログハウスの屋根に使ったコロニアルの残材を投棄場所として有効活用しました。

コンクリートの型枠がわりに板を刺して土で倒れ防止をし、コンクリートを流し込み、石積みをしていきます。

'11.03.26

小屋の基礎位置を決めるため「やり方」を設置したところです。ご覧のように高低差があるので結構やっかいです。

'11.03.04

高さ1mほどに積み上がりました。上面を水平にし、石を固めたセメントのはみだしをタガネでハツッて仕上げたところです。この上にレンガを積み上げて窯をつくっていきます。

'11.04.04

柱は四方ころび(垂直でなく傾けた)のため、基礎の束石を柱と一体にしてから組立開始→コンクリート打ち4人掛かりでやりました。

棟上げが完了し、野地板を張ったところです。あと屋根葺きが残っていますが一応小屋の形はできました。柱の寸法、基礎の一の誤差が出ると屋根の水平が出せないのではないかと心配しましたが、なんとかなりましたね。

 

'11.04.04

名古屋の業者から耐火煉瓦一式を購入しました。耐火煉瓦390丁、断熱煉瓦60丁、モルタル1缶など計1300Kgになりました。2tダイナをレンタルして2人の友人に協力してもらいました。これからダイヤモンドカッターを購入し、大量のカットが始まります。

 

'11.07.05

石積みの土台の上に焼床の断熱材(断熱レンガ)を敷いたところです。土台の平面精度が悪かったため、レンガで修正するのに苦労しました。

大量のレンガをカットするのにカッターを購入しました。レンガの最長方向をカットするためには、カッター径をΦ400、さらにレンガをスライドさせながらカットする必要があるためスライドテーブルを自作。 また傾斜させてカットする場合はシムをいれてクランプで固定させるなど色々な工夫がいります。カッター本体は友人から借用したものの、カッター径が大きいためカバーも自作しました。

一段目のレンガをカットし、並べてみたところ。図面どおりのサイズになったか、配置は良いかなど確認。

2段目を積み上げたところ、ここから少しずつ傾斜していきます。

3段目 ここからはレンガの断面が台形になり、地球でいうと緯度が高くなっていくと経線が狭くなっていくのと同じですね。

石窯の炊き口(アーチ)をセットしました。台形型にカットしたレンガを耐火モルタルで接着しているので汚れて見えます。このアーチと窯本体のレンガの取り合いが複雑なので図面上で断面を作図で確認しながら進めてきました。

4段目を積み上げたところ

5段目以降は積み上げ角度がきつくなり(このページのトップの図面参照)レンガが自重で維持できないので治具を使って積み上げて行きます。竹の輪に3本の番線で脚を付けて中央にセットします。 レンガは対向する2丁を同時に積み上げバランスを取ります。これを繰り返して最終的にその列が もたれ合って安定します。

'11.11.14

アーチ部とぶつかる3、4段の合わせ部を窯の中央から見たところです。図面とのずれを修正しながら の作業で最も手間のかかるところです。

6段を積み上げたところです。

おおよそ4ヶ月でついに完成しました。使用レンガ個数;約450丁 見た目は殆ど図面に忠実に製作することができましたがカット角度の誤差が積み上げられて細部では隙偏差ができて しまったところがあります。精度を上げるには大変難しいことがよくわかりました。

仕上げ状態を上から見たところです。

今後は火を焚いてレンガを乾燥させる作業を数回やってから火入れをやる予定です。

レンガ乾燥のため2回ほど薪を燃やしました。扉、火掻き棒、ピールも準備できてもういつでも ピザパーティーがやれる状態です。

その後、窯の名前つけることにした。我が雅号は”真格”なので「真格窯」と命名しました。